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50年以上、宮城の村々を訪ねて民話を聞き続けている著者。
「村を訪ねて民話を聞く」こと自体が次第に現実と空想のあいだを行き来するような気配を帯びてゆき、頁を繰るごとに読む側から行間にその匂いを探しにいくようになってゆくー。そんな不思議な1冊です。1冊を通して1つの民話を聞かせてもらったような内容の本。
そしてそうした佇まいをまとった細部に凝ったデザイン・装丁もとても素敵です。
この本は著者が80歳のタイミングで自ら作った自家製本がもとになっているとのこと。
50年以上かけて集めた民話集。そして著者が歩きながら、訪ねながら、ゆっくり考えたり調べたり話を聞いたことがじっくり読める。とても贅沢な本だと思います。
ぜひ手に取ってみてください。
むかーしむかーし…
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【以下公式HPより】
むかし、むかし。あるところに——海辺の町や山奥の集落で、口から耳へと語り継がれてきた「民話」
東北で50年ものあいだ、一軒一軒の戸を叩きながら「民話」を乞うてきた民話採訪者が聞いたのは民話とともに語られた「民の歴史」、抜き差しならない状況から生まれた「物語の群れ」だった
これまで50年にわたり東北の村々を訪ね、民話を乞うてきた民話採訪者・小野和子。
採訪の旅日記を軸に、聞かせてもらった民話、手紙、文献などさまざまな性質のテキストを、旅で得た実感とともに編んだ全18話と、小野の姿勢に共鳴してきた若手表現者—濱口竜介(映画監督)、瀬尾夏美(アーティスト)、志賀理江子(写真家)の寄稿がおさめられています。
表紙や本中には志賀が東北で撮りおろした写真を掲載。一字一字を精密に美しく組んだ大西正一によるデザインワークも魅力のひとつです。
商品情報
小野和子『あいたくて ききたくて 旅にでる』
368ページ A5変形
2700円+税
編集_清水チナツ
写真_志賀理江子
デザイン_大西正一
寄稿_濱口竜介・瀬尾夏美・志賀理江子
発行_PUMPQUAKES
印刷_ライブアートブックス
プリンティングディレクション_川村佳之・清水チアキ
ISBN:978-4-600-00315-9 C0095