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『inch magazine』さんとZINEを作りました。
『AWOL ZINE(エイウォルジン)』は、インディペンデントな働き方や生き方をする人々に注目し、その仕事観や考え方を書き記していきます。
第1号のissueは「隣」。
隣同士や近くにいながらじっくり話したことのない2人の対談を2本収録しました。
両側から1本ずつの対談を読むことができる作りになっており、両A面ならぬ両”B”面対談です!
【Contents】
• 『DAWN』編集者 二宮慶介×『inch magazine』編集者 菅原祐樹
ストリートカルチャーを切り取る2人のインディペンデント雑誌編集者が紡ぐもの
取材・テキスト:宮里祐人(バックパックブックス)
2019年11月創刊の『DAWN』と2021年4月創刊の『inch magazine』。ストリートカルチャーを扱い、自主出版でありつつも、しっかりとした作りで全国の書店で販売されている両誌。バックパックブックスでも取り扱っており、どんな方が編集をされているのか気になっていました。
2022年9月と2023年1月という近いタイミングで共に2号目が発売となったこともあり、書店で“隣”に置かれているのを頻繁に目にする両誌の編集者に対談していただきました。話題は、刊行の経緯、今の時代に雑誌を作る上での編集者としての意識、現在のHIPHOPなどなど、読み応えのある対談になっています。
•『omiyage』ロボ宙×『バックパックブックス』宮里祐人
オモシロの輪を広げるイン・ザ・シティ
取材・テキスト:菅原祐樹(inch magazine)
京王線•代田橋駅(東京都世田谷区)南口の目の前で、隣同士で店を営む『omiyage』のラッパー、ロボ宙さんと『バックパックブックス』の宮里の対談です。開店の経緯や当初の様子、コロナで真っ暗な街に始まり、徐々に灯りと人が戻っていく過程で仕事について考えたこと。街と仕事について対談しました。東京の再開発についてのエッセイも。
発行日:2023年5月21日
編集:菅原祐樹(inch magazine)、宮里祐人(バックパックブックス)
デザイン:宮崎希沙
印刷:Hand Saw Press
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はじめにより
I’ll be AWOL.
これは、「日々の生活に広く深く浸食しているSNSをしばらく辞める」といった意味で使われるフレーズだ。本来は「無断欠勤」といった意味の「AWOL(エイウォル)」は、ヴェトナム戦争で脱走兵に対して使われた言葉でもある。ヴェトナム戦争での経験をもとにして戦争についての作品を書き続けた作家、ティム・オブライエンの『カチアートを追跡して』で、戦線を離脱してフランス・パリに無謀にも徒歩で向かうといって消えた兵士カチアートを差して、コーソン中尉が「くそったれの脱走兵(AWOL)ってわけだ」とつぶやくシーンがあるが、まさにその言葉だ。その戦争では、ヴェトナムの湿地帯に投げ込まれて体が腐るほどの湿度と、敵の罠による死の恐怖、そしてなんのために戦っているのかわからない大義のなさから「ドロップアウト」した兵士が少なくなかったという。SNSではスコールのように情報が降り続け、毎日のように舌戦が繰り広げられている現在、何か通じるものがあるのかもしれない。
ドロップアウト思想がある意味肯定的に使われてきたように、世の中に流されることなく社会との距離感を自分で取り戻すことは、現代社会において重要なことなのではないだろうか。このZINEではそういった働き方をする注目すべき人々に話を聞き、それを紙に書き記す。1号目「issue“隣”」では、隣同士や近いところにいながらも、今までじっくりと話したことがなかった者同士に対談してもらった。